思い出



歳を重ねてからの
思い出は
どこへでも
連れて行ってくれる

トンボの大群に囲まれた
田んぼの真ん中へ
勝利を呼び込む
突き上げた手の先へ
産声を見上げた
青空の下の駐車場へ

恋を投げ捨てた
橋の上に  
友を無くした
いきどおりの鉾先に
声を出して
泣けることがわかった
別れの場にも

思い出は
何もなかったように
連れて行ってくれる

だから
みんな「がんばれ」と




   田んぼの一年へ